歴史の修正力というのが何のことかはあまりわかりませんが、何クールにもわたる長大なテレビドラマ全編を通じての主題になるほど、時間とは何なのかという命題が人を魅了して止まないことはわかりました。
昨日の最終回を観て確信したのは、
1.時間は存在する
2.時間は積み重なる
3.「『過去』と『現在』は同時に存在しない
以上の3点が、視聴者にとってはほとんど自明であるということです。
「1.時間は存在する」ということについて、何千年にもわたる思想史の営みが明らかにしたのは、せいぜい、時間は実在するのではなく、認識するものであるということくらいではないかと思います。
一般言語学を援用すれば、ことばは音素の並びです。音素の並びであるがゆえに、ことばを発する(発話、紙に記述、脳内の思考いずれにおいても)ためには必然的に時間が発生します。そうでないと、音の後先を認識できないからです。人がことばを発する、すなわち思考することこそが、時間を生み出す原動力であるということです。
人間とそれ以外の動物との最大の違いは、ことばを話すことです。一部の動物が話すとされることばは、「比喩」や「類推」の要素を持たないことから、言語学においては「ことば」とは言いません。その意味では、人間が誕生した時が、時間の始まりと言っても過言ではありません。
真夜中の白銅貨取り自販機の喉へ注ぐ間。宇宙冷えゐる
[10回]